実家の2階に有線LANを

日常

長いこと考えていた「実家の2階と1階を有線LANでつなぐ」を決行することにしました。

実家は30年前くらいに建てたのですが、そのときから「LANを1階と2階で線を張っておきたい」と思っており、今年(2023年)6月にとうとう光を導入し、1階にONUとルータを設置。あとは2階です。一応WiFiは届くのですが、私に使用台数を考えると2階にもAP(アクセスポイント・WiFiの基地局)がほしい。そのためには有線が望ましい(無線でもつながる(子機モード)けど、速度が期待するほど出ないのと、そもそも無線LANが干渉する自体が避けられない)。ということで本格的に考えることにしました。

まずは現在ルータがあるところの壁(コンセントや電話線)のところにLANケーブルを持ってくる必要があります。その方法は、
・壁の中を通す
・壁にモールを貼って、そこを通す
・壁に穴開けて通す
などの方法があります。基本的に「穴開け」は最終手段なので今は考えないことにします。

実のところ自宅は「壁にモール」で実行しています(「1階と2階」ではなく、「ルータのある部屋と、その他の部屋(リビングを含む)」です)。
天井と壁との隅っこにモールが延々と張り巡っている我が家です。電気やガスのの工事の方が「これ、プロがやったんですか?」というくらいきれいにできているようです。というか、たぶん壮観なんだと思います。えぇ、モールだけで何十本買ったやら・・・。LANケーブルも20mを何本も用意して、中継用のハブとかいろいろやりましたよ・・・。もう20年以上前の話です。
まぁそれはさておき。

実家に光がやってきて1階にルーターを設置。これは生活の基本が1階だから。それは良いです。では2階は? となると、ルータの無線LAN電波が届いて這います。なのでとりあえず通信は家中で可能。という形になっています。

なんですが。
まぁ通信はします。
ただ、無線子機がスマホを筆頭として数がそれなりになります。6月導入でまだ人がいっぺんに集まっていないので問題になっていないだけで、年末あたりはそれっぽく集まりそう。で、スマホとゲーム機と・・・で一人で何台も無線LANを使うことになります。PCも使うでしょう。となると・・・ルータは10台とか16台の無線LAN子機が接続可能(一般家庭用)です。
ちなみに今回の実家だと
・親のスマホ1
・親のスマホ2
・私のスマホ
・私のPC
・私のFireTV
・私のSwitch
・私のタブレット
・その他私の何か(そのときによっていろいろ)が数台
ということで10台近くが接続される形になります。
そこに我が娘たちやその他数名がくると・・・4名として3台平均で12台さらに必要。ということであふれます。
あふれるとどうなるかというとWiFiが使えないので電話機のパケット通信になるわけです。光を導入した意味が無くなります。

これを回避するには無線LAN親局(基地局)を増設すればOK。電波の強さを考えると(壁などがあると弱くなる)1階と2階にそれぞれ用意されていると使いやすい。ということになりますね。
その親機同士をどのように接続するのか?というと、やっぱり無線LAN。という方が多いようです。まぁお手軽ですし配線要らないですから。
でも、知っている人は知っています。無線LANは通信速度が遅いことを。「いやいや、だって54Mbps(11Gや11A)だよ?」とか言う方もいらっしゃるでしょう。ちょーっと知ったかぶりな方ですね。
これ、片道の速度です。通信は往復です。そして、無線LANの電波の範囲ですが、わかりやすいように無線LANのチャンネルが10個あったとします。このチャンネルというのは、2.4GHzとかの無線LAN規格だと、2.3GHzから2.5GHzくらいを使う。(中心が2.4GHz)ということで、2.3から2.5を10個に分割して使う。ということを意味しているんです(本当の規格の数字ではないです。間違えないようにしてください。理解しやすいように数値は単純化しています
0.2GHzの範囲を10個に分ける。0.2GHzは200MHzなので1チャンネル20MHzという割り当てになります。
1チャンネル目:2.320GHz
2チャンネル目:2.340GHz
3チャンネル目:2.360GHz
  :
というように使われます。
なんですが。無線LANの通信だと1チャンネルの使用領域は30Mhzくらい使うのです。(繰り返しますが、理解しやすいように数字を単純化しています
2チャンネル目は、2.340GHzを中心に±0.015GHz=2.325から2.355GHz を使用。
3チャンネル目は、2.360GHzを中心に±0.015GHz=2.345から2.375GHz を使用。
よく見てください。2チャンネルの最大値と3チャンネルの最小値。2.355と2.345です。2チャンネル目のほうが大きいということがわかります。これが何を意味しているかというと、「使用する電波の領域が重なっている」ということです。もちろんほかのチャンネルについても同様です。
電波が重なると、それはそのチャンネルにとってノイズが乗ることを意味しています。ノイズが乗ると言うことは通信データが化けてしまいエラーとなるということです。エラーが発生した場合は再送などの処理が行われます。再送は通信のやり直しですので通信時間が倍以上になる。ということです。つまり、54Mbpsでも再送が1回発生すると結果的に10MBpsとかの速度まで落ちる。ということです。また、チャンネルは空いていないと使えません。空いてないと待ちになります。通信すれば54MBpsですが待っている間は0bpsです。平均すると27Mbpsとかになったりします。

なので「無線でも有線と同じように速いんだよ」と無線LANの仕組みを”知っているつもりになっている人”と言われる所以です。「専用で通信できれば54MBpsで通信が続けられる」というような言い方でなければダメなんです。
なので、仮に有線の54MBpsと無線の54MBpsという回線が存在するのであれば、絶対というほど有線を選択するのが通信としては正解と言うことになるのです。ちなみに有線は双方向でそれぞれ54MBpsになります。空き待ちという状態は発生はします。そこは無線と同じですが、通信速度が速いことから待ち時間は短くなります。また、電波の重なりという影響がないので空き判定は無線に比べて有利になります。つまり、速度が同じなら通信時間は「有線>無線」というかたちになります。
 
 
というわけで、光通信の速度を生かすべく、1階と2階の接続は有線LANを敷きたい。というのがおわかりいただけたでしょうか。
え?わからん?
そうですねぇ・・・じゃぁ、イメージですが、DVD1枚(4.7Gバイト)のダウンロードが1分と3分の違い。といえばわかりやすいでしょうか。同じ通信速度なのに有線なら1分。無線なら3分です。

 
 
ま、このあたりはインフラを整備する立場になってから勉強すれば良いでしょう。ただ単に何も考えずに「使えれば良い」ということであれば、宅内通信はすべて無線LANでOKです。

さて。
私はそういうわけにはいかない(許せない)ので実家の1階と2階は有線LANを敷設することにしたく、ずーっと考えていました。これが冒頭の”実家は30年前くらいに建てたのですが、そのときから「LANを1階と2階で線を張っておきたい」と思っており”です。当時はISDNまたはADSLだったような気がしますが、いずれにせよ1階にルータが設置される形になるので、理由は同じです。本来宅内通信速度は宅が居通信速度より速いことが望まれます。が、光通信が1Gbpsとかの時代の今、宅内のLANもギガイーサなので同等の速度となってしまってますね・・・これは別の機会のお話としましょう(面倒なので、たぶんしませんけど)

で、実際問題としてどのように2階と1階を線で結ぶのか?です。
手っ取り早いのは、壁に這わせてLANケーブルを貼り付けたり置いたりぶら下げたりする方式です。ドアとかそのあたりは断線しないように注意する必要があります。
この方法、見栄えがめちゃくちゃ悪いです。というか、机上でのPCをマウス、ACコードといった程度なら許されますが、それが家の廊下や壁に見える形で敷設されます。昭和時代の電灯の電線。あれが天井や壁に打ち付けられているのを思い出してみましょう。あれが今の時代に復活する形です。いただけません。最終手段としては仕方ないのかもしれませんが・・・

で、それをできるだけ隠す方法が「モール」です。ケーブルカバーのことです。できるだけ壁紙と同系色を用いることで目立たなくできますし、モールは「あ、あるね」くらいの印象です。あまり気になりません。ですが、やはりドアとかの引込口には設置できない場合があったりしてケーブルが露出する場合がありますし、断線にも注意が必要です。

一番良いのが「壁の中を這わせる」です。コンセントや電灯のコードは基本的に屋根裏配線されてますよね。水道の給水管や配水管、ガス管なども隠されています。LANケーブルも隠れていれば存在しない扱いができるので一番良いです。なので、可能な限りこれを目指すのが望ましいです。

なんですが。一番難しいのが、この「壁内配線」です。建築時に最初から敷設しておく。拡張用に配管を設置してもらっておく。などができていれば容易なんですが、通常そんなことはしません。なので、基本的に無理なんです。電話線の工事とかで外から電線を入れるパターンがありますが、それに便乗して「LANケーブルが通せれば」楽なんです。が、RJ45の端子は普通は通りません。そして、普通の人はこの端子にケーブルを取り付けることもできません。なので無理なんです。ちゃんと講習を受けた人でなければ無理なんです。そして私・・・講習、受けてます!!できるんです!!!工具持ってないけど(爆)

ただ、電気工事の免許は持ってます。つまり、コンセント回りをいじることはできます。よって、既存のLANケーブルをコンセントとかのあの枠内から取り出すこと自体はできます。なので、目的の1階の場所と2階の場所とをLANケーブル自体で配線ができればOKということです。別に配管を通す必要はありません。
とはいえ、電話系工事の時にやってもらえるなら多少の工賃を払ってでもやってもらう方が楽です。
そんなわけで光工事の時に確認してもらったんですが、結果は「ダメですね。これは壁を壊さないと無理です」とのこと。

でも。私は屋根裏を何度ものぞき込み、可能性を見つけては居ました。それは当初は妄想でしたが、昨年?テレビの配線を増設(記事にはなってません。というか、以前のサーバがすっ飛んで消えました)した際、ある程度アタリを付けておいたのです。そして光工事へ。妄想から現実案へと昇華させるときが来ていました。そして光導入。いよいよ現実感から具体案へ熟考しなければいけなくなりました。(ここから2階も1階のルータのWiFiで運用開始です)

まず、経路です。
基本的に2階と1階の間の部分で、2階の目的の部屋と1階のルータのところまでは横移動を行う必要があります。ルータの2階部分のところから壁面を垂直に下降。そこにある電話線口またはコンセントのBOXからケーブルを取り出す。というかたちになります。

で、実家の構造では、2階の部屋からルータの2階部分は階段が邪魔していて直線での横移動はできません。なので階段をぐるっと回り込む必要があります。ただ、1階の天井をのぞき込める場所というのは限られていて、洗面所にある点検口(テレビアンテナのブースターや分岐のため)と、ユニットバスの点検口の2箇所のみです。2階の目的の部屋はユニットバスと洗面所の境の部分近くにコンセントがあったので、先のテレビアンテナ配線はこの2カ所でアンテナ線を引っ張って、2階の部屋からワイヤーを落として引っ張り上げています。
そして、その風呂場の点検口から、ルータの部屋と隣の部屋の境の柱が目視できます。ギリギリルータの部屋のほうへ線を落とすことができそうではありますが、そこまでは2m以上離れており、しかも隙間が数cm程度しかなく、重りを付けたひもを投げて落とすといった芸当はできません。
これが「現実案」です。ここから「具体案」へ持って行くには、ルータの上のところまで、どのようにケーブルを持って行き落とすのか?というのを考える必要があります。

この「ケーブルを持って行き落とす」問題。これが最大の問題で最重要課題です。
この問題、「落とす」方法は比較的容易に考えついているのです。それは「ビニール紐に単4電池を取り付けて落とし、壁内BOXから取り出す。取り出した紐にケーブルを結びつけて引っ張る」です。落とすのは紐。重りは電池。そして”ケーブルを引っ張り上げる”です。垂直の問題は”BOXから取り出す”ことができればクリアです。

残る問題。「点検口からルータの2階部分までの横移動」です。手は入らない。入っても遠すぎて投げるわけにも行かない。手詰まりです。
そして考えること1年(どんだけ考えているんだか・・・)。ふと「マジックハンド、使えない?」と思いつきました。まぁすぐに「ダメだよね。1mもないし」と結論が出たのですが、ポイントはそこではありません。「突っ張り棒で紐付き重りをそこまで持って行けないか?」です。突っ張り棒は2mくらいまでの可変長のを使えば良さそうです。そして、その先端にフックを取り付けて、そこに重りをぶら下げる。目的の場所についたら下ろします。落とすとろくなこと無いのでゆっくり下ろします。で、下ろした長さを計測し、どこまで落とせたか判断します。いけるんじゃね? この思考にたどり着いたのは7月のことです。

で、準備。というか家にあるのは1.5mくらいまでの突っ張り棒。届くかな・・・フックは持ってる。紐もある。電池は実家にある。留めるためのビニールテープは持っている。準備はOK。あとは実践あるのみ。

ということで、19日の実行の日になります。

 
 
19日。脚立を風呂場に持ち込んで点検口を開けてのぞき込みます。当然、以前のように隙間からルータの上と思われる屋根部分と柱が見え隠れします。しっかりとは見えないのでいまいち予想と場所がずれているかもしれませんが、間取り的に位置を予想しておきます。突っ張り棒を点検口から屋根裏へ持ち込み(長すぎると入らない)、フックを取り付けてビニールテープで固定。ビニール紐に乾電池を取り付けてフックに引っかけます。あとは突っ張り棒を延ばしながら目的の位置まで電池を持って行き・・・持って行き・・・届かねぇ(汗)
届きませんでした。あと60cmくらいかな。全然届いてません。階段まで届いたねレベル。その向こうなんですよ、目的地は。
もっと長いのが必要なのね・・・って、そんなの持ってない・・・いや、持ってるね。車のフロントウィンドウの日よけをたるまないように押さえつけているのが。あれは120cmから2mのはず。ん?1.5mであと60cmくらい(目測)で、2mじゃ届かないじゃん。アカーン!!

うぅ・・・挫折。と思いきや。タープ用のポール持ってるじゃん。何本も。3mなんて余裕じゃん(50cmが10数本ある)。
ってことで、そちらに切り替えていざ! うん、余裕で届くじゃん。あとはこれを下ろしていくだけ。途中筋交いに引っかかったようだけれど、紐を引いたりして回避できた様子。2mオーバーで落とせたようです。
通常、2.5mくらいで天井から床までの高さとなるので2mだと心許ないけれど、まぁもうちょっと落ちたっぽい。たぶん床板部分までと思われます。ただ、そこはルータの直上ではなく、数十cmはなれた壁際なので、BOXを外して手を入れても紐に触ることはできませんし、壁は柱で分断(30cm間隔程度)されていて、隣のブロックに紐が落ちてきていると推測されます。よって、直接は紐は取り出せないことはわかっています。そこは床下で連結させる作戦としています。床下は物置となっているので、隙間から紐が取り出せればOKなんです。

で、床下物置に移動。紐を探します。
この床下物置は家の半分くらいの床下のサイズでデカいです。南側のダイニングとか部屋とかの下になります。中央の階段の手前まで。北側は風呂とかトイレとかで、そちらには進めません。中央に土台の壁があって、そこまでです。なので、その土台と1階の床との隙間から紐が見えれば取り出せるのですが・・・ない。紐がありません。
理由はわかりました。土台の上に柱が横たわっていて、そこに床板が取り付けられているのですが、壁と床が「⊥⊥」の形となっていて、床の隙間に紐(重り)は落ちてこないようです。床板までは来ているようなのですが、手や指が入らないので取り出せません。また、見えないので「来ているようだ」としか言えず、対応がとれません。
もう少し・・・あともうちょっとなのに・・・。ただ、いまいちどこに落ちてきているのかも判明しないので、何か対応をするにしても無理。

手詰まりか・・・

と、父が「床下覗いてみたら?」と。え。聞いてないよ? できるんだ。なるほど・・・ってことは潜れるのでは?

20日。朝から床下収納を取っ払って潜ってみました。いやぁ・・・配管とかがあるので匍匐前進しないと入っていけない・・・けど、進むことはできる。真っ暗なのでまさに探検隊状態(笑)
そして、「このあたりだろ?」ってところまで進んでチェック。やはり壁と床が「⊥⊥」の形であって、どうにも出てくることはできないらしい。しかも、その上にも柱があるようです。これはもう・・・だめだよね。

と戻ろうとして後ろを見てみるとユニットバスの設置部分が見えます。これって風呂だよね。ってことは、わざわざ奥の方まで延ばして落とさなくても、風呂横の隙間から下ろせるのでは?しかもユニットバス見えてるし。(といっても隙間は2cm程度なので、手は入らない)

今度は匍匐後進で宅内に戻りお風呂場へ。で、紐を引っ張って重りである乾電池を手元に戻し、ユニットバスのところから下ろします。やっぱり2mくらいしか下ろせないようです。まぁこれでどうなるのかな・・・ということで、再び床下を匍匐前進してユニットバスが見えたところへ。(文章だとこれくらいですが、最初の匍匐前進から1時間以上経過してます)
で、懐中電灯で隙間を一通りチェックすると・・・・ビニール紐が見えます!!! おぉ・・・(TДT) 引っ張り出さねば。

んでもって、今度はルータの近くのBOXから太い針金を落として

LANケーブルを通します。(引っ張り上げます)

そして2階も同じように針金とおしてケーブルを引っ張り出します。

1階の取り出しはこんな感じ。(ここは要電気工事2種免許)

2階はこちら。(施工前・施工中・施工後)

もうね・・・LANケーブルさえ出てきてくれればあとは楽ちんです。というか、ここまでできないと配線を隠せませんです。が、一番シンプルは方法です。やる価値あり。超面倒ですけど。
調査・対応・工事で6時間くらいかかってるかなぁ。普通は業者に依頼する内容ですけどね。たぶんウン万円とかかかるんじゃないかな。で、モールタイプ似なるような気がします。そして壁に穴開けとかも。やおおあり自分でなんとかすると、結構理想通りできますね。20日14時半。工事終了です。

このあと、2階にルータをAPモードで設置し、2階用の通信が開通。FireTVもすこし通信が速くなったようです(すぐそばにルータがあるので通信が安定しているっぽい)。また、PCも通信速度がアップしています。やっぱり有線は高速ですよね。苦労した甲斐がありました。